「戦時中の国で不動産を買う」という行為は、一見すると狂気の沙汰に思えるかもしれません。しかし、大局的な視点(マクロ経済と地政学)を持つ投資家の間では、ウクライナ西部(特にポーランド国境に近いリヴィウ州やザカルパッチャ州)の不動産は、現在ヨーロッパで最もホットな投資対象の一つとなっています。
1. 「国内シフト」による圧倒的な需要と供給不足
開戦以降、数百万人規模の国内避難民が安全な西部地域に移動しました。同時に、多くのIT企業や製造業が、拠点を東部・中部からリヴィウ等の西部の都市へ移転させました。この急激な「人口と資本の西部シフト」により、リヴィウの住宅・オフィス市場は慢性的な供給不足に陥っており、賃貸利回り(インカムゲイン)は非常に高い水準で推移しています。
2. 「EUの玄関口」としての物流ハブ化
黒海ルートが制限される中、ウクライナの輸出入の大部分はポーランドやルーマニアとの陸路国境を経由しています。これに伴い、国境周辺には巨大なドライポート(陸上港)や倉庫群の建設ラッシュが起きており、周辺の工業用地・商業用地の地価が急騰しています。リヴィウは単なる「避難先」から、欧州とウクライナを繋ぐ「最強の物流・経済ハブ」へと変貌を遂げつつあります。
3. EU加盟への「アービトラージ(裁定取引)」
ウクライナのEU加盟に向けた交渉は既に始まっています。過去の東欧諸国(ポーランドやルーマニアなど)の歴史を見れば明らかなように、「EU加盟国になった瞬間」に、その国の不動産価格は近隣のEU諸国の水準(欧州スタンダード)に向けて一気に跳ね上がります。現在のウクライナの不動産価格はリスクを織り込んだ「ディスカウント価格」であり、EU加盟というイベントに向けた巨大なキャピタルゲイン(値上がり益)を狙うことができます。
4. 外国人でも比較的容易な所有権の取得
ウクライナの法律では、外国人(個人・法人)であっても、アパートメント(区分所有建物)や商業用建物を合法的に購入・所有することが可能です。(※農地の購入には制限があります)。プレビルド(建設中)の物件を安値で購入し、完成時やEU加盟時に売却する投資モデルが、欧米の機関投資家や富裕層の間で静かにブームとなっています。
